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    「高瀬舟」の世界

    • 2013.02.27 Wednesday
    • 23:17


     僕です。今日は森鴎外の「高瀬舟」(1916)についてお話します。
     僕は森鴎外について、彼が坂の上の雲に軍医として登場することから、ある程度は知っていました。その後、近代文学に興味を持った僕は、同時に小説家でもあった彼の作品に触れるため、まずこの高瀬舟を手に取ったというわけです。これは僕がシドニーにいた頃、二十歳の時分でした。
     高瀬舟のテーマとして、善悪の相対性が挙げられると思います。これはシェイクスピアの「ヴェニスの商人」、「ロミオとジュリエット」、「ハムレット」にも共通するものがあるかと考えます。
     弟殺しの罪により島へと遣られる喜助は、これを運ぶ高瀬舟にて、役人である庄兵衛からその殺人の動機を問われます。
    すると喜助の言うことには、兄弟二人の貧しい生活の中だというのに、病床に臥せってばかりの弟が、これではいよいよ兄貴に迷惑だということで剃刀にて自殺を測るも失敗し、喜助は彼をその苦しみから救うために手を貸したということでした。
     庄兵衛は、これが果たして罪であるのかという疑懼に苛まれます。殺人ではあるが、苦しいので剃刀を抜いてくれと言われ、これを抜いてやる事が犯罪なのだろうかと。
    これは人間が社会を形成する限りにおいて、避けて通ることのできない問題なのです。人が二人以上で活動する場合、必ず中立の存在が必要になります。これがいわゆる法の概念なわけですね。何故なら、もし法がなければ、善と悪はどちらの側に立つかによって左右されてしまうからです。
     喜助の罪は、この中立に対しての罪であるわけです。たとえ先方には善であっても、これが法に対して罪である限り、彼は裁かれてしまいます。そしてこれが、庄兵衛には釈然としないわけでした。
     人間が作り出したものによって、我々が人間らしさを失うことを人間疎外といいますが、これは何も機械のみによって齎されるわけではないということ。法や学問など、人間が作り出したものの、その全てによって疎外されてしまうということが、この作品に垣間見ることができますね。

     この様にはっきりとした主題を叙事的な文章で簡潔明瞭に記し、そしてこれに登場人物の素直な心理描写を纏わせています。舞姫などとは対照的に、読みやすい文章なども、またこの魅力の一つかもしれません。

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